- 自己破産の裁判がどのようなものなのか知りたい
- 免責尋問で裁判官に聞かれることを知りたい
- 免責尋問の結果で免責不許可になる事例を知りたい
自己破産では、弁護士に代理人になってもらい裁判所に破産申立てをする手続きをすることで、裁判によって免責許可するかどうかの判決が下されます。
しかし、実際には“免責審尋”と呼ばれる裁判官との面談が行われるだけ。
よっぽどのこと(破産申立ての申請書に嘘があるなど)のことがない限り、免責許可されます。つまり、自己破産が成立し借金が無くなります。
本ページでは、裁判所に免責尋問で出廷した時の体験談についてお話します。
自己破産の裁判ってどんな感じ?免責尋問ってなに?
自己破産手続きのクライマックスに「免責審尋(めんせきしんじん)」があります。
要するに、裁判で免責が許可されるか不許可になるかが決まる裁判官との最終面接です。
とはいえ、“最初で最後の面接”になります。
免責尋問が終われば、自己破産の手続きはほぼ終了。あとは、免責手続きが終わりるのを待つだけになります。
おそらく、就職面接の方がよっぽど緊張するかもしれません。
そもそも免責尋問とは?
免責審尋とは、裁判官が自己破産申請者に免責許可を下すかどうかの最終判断をするための面談手続きです。
自己破産は裁判によって免責が許可されることで成立します。そのため、自己破産申請者は裁判を受ける(裁判官と面談する)必要があります。
なお、免責審問には裁判官と1対1で行われる「個別審尋」と、自己破産申請者をまとめて免責審尋する「集団審尋」があります。
「個別尋問」と「管財尋問」
簡単にイメージすると、個別面接とグループ面接です。
- 個別尋問 → 個別面接
- 管財尋問 → 集団面接
なお、自己破産はプライベートな問題になるため、集団審尋では個人のプライバシーに踏み込むような質問などはされず、簡単な事実確認のみが行われます。
ただし、一般的には「集団審尋」になるケースが多いそうです。
というのも、平成30年度司法統計によると年間の自己破産件数は8万件以上。1日あたり220人以上の人が自己破産していることになります。
すべての破産事件を個人審尋で対応するのは大変です。そのため、ある程度まとめて効率的に集団審尋を実施するのが一般的になっているようです。
免責尋問が実施される時期
免責審尋の時期は「同時廃止」か「管財事件」かによって異なります。
- 同時廃止 → 破産申立てから約2ヵ月
- 管財事件 → 破産申立てから2~3ヵ月目
つまり、早ければ破産申立てから3ヶ月前後で自己破産手続きが完了することになります。
ちなみに、破産手続開始決定から自己破産が裁判で認められて免責になるまでの期間は4ヵ月未満と報告されています。
≫ 自己破産までの期間は破産申立てから約4ヵ月!借金の取り立てはいつ止まる?
「同時廃止」と「管財事件」
自己破産手続きは、同時廃止事件と管財事件の2つに分けられます。簡単に言うと、債権者に分配できる資産があるかどうかの違いです。
同時廃止の場合
破産申請者に財産や貯金がない場合、債権者への配当手続きは行われず、破産手続きだけが行われるため、比較的早い時期に免責審尋が行われます。
管財事件の場合
破産申請者に財産や貯金がある場合、債権者に配当する手続きと破産手続きが行われるため、同時廃止よりも免責審尋が実施される時期が遅くなる傾向にあります。
※管財事件の場合は債権者集会にも出席する必要があります。ただし、質疑応答は代理人の弁護士が行うため、破産申請者本人は傍聴するだけになります。
免責尋問の当日の流れ
免責尋問の日程は裁判所が一方的に決めるものではなく、担当の弁護士を通して日程調整してもらうことができます。
とはいえ、いくつか挙げられた候補日の中から決めるという感じでした(基本的に平日の午前中)。
反省していないとか、そういうことではありません。借金の催促の電話が鳴り止まぬ日々の中で限界を感じ、スマホの電源を切った瞬間に「人生のどん底」を経験しました。
「あの日々に比べれば…」という気持ちが私の心を強くさせてくれているんです。
さて、ちょっと話が断線してしまいましたが、免責審尋の日のことを紹介しますね。
弁護士と待ち合わせ
免責審尋の10分前に、弁護士さんと裁判所前で待ち合せをしました。
初めて借金の相談をした日から免責審尋の日まで、弁護士さんとは約4ヵ月のお付き合いになります。ここまで手続きを進めてくれて感謝の気持ちしかありませんでした。
なお、自己破産手続きを弁護士ではなく司法書士に依頼している場合、司法書士には代理権がないため免責審尋に付き添ってもらうことはできないようです。
整理券と受け取って待機
さて、緊張しながら初裁判所に入廷。
その後は緊張していたのであまり覚えていませんが、職員の人から整理券?を受取り法廷の前で弁護士さんと一緒に座って待機していたと思います。
なお、私たち以外に一組(破産申請者とその弁護士?)がいました。
事前に弁護士さんから「集団審尋だと思います」と言われていたので、グループ面接のようなものをイメージしていましたが、集団といっても私たち2組だけなので、ちょっとホッとしました。
裁判官が入廷して面接スタート
免責審尋の時間になると、裁判所職員から法廷の傍聴席に座るように案内されました。
その後、裁判官が入廷し、免責審尋の概要や免責についての注意点などの説明がありました。
その後、破産者を1人ずつ前方の席に案内され、裁判官との免責審尋がスタートします。
具体的に、免責審尋で裁判官に聞かれることは以下のような内容です。
免責尋問で裁判官に聞かれること
- 自己破産制度について理解しているか
- 破産申立て内容に間違いはないか
- なぜ借金をつくってしまったのか
- なぜ返済ができなくなったのか
- 申告した債権者リストに間違いはないか
- 住所・氏名・本籍に違いはないか
などなど。
借金を作ってしまった原因や、返済できなくなった経緯については、破産申立ての申請書を自分で一通り読み返しておくことで問題なく受け答えができました。
万が一、弁護士さんが申請した破産申立ての内容と異なる経緯や原因を話してしまうと、2回目の免責審尋が実施される可能性もあるようです。
ちなみに、私の免責審尋の時間は約10分。
これで、私の自己破産手続きは終了。あとは待つだけ。
弁護士と雑談して解散
免責審尋が無事に終わり、裁判所を出て弁護士さんにお礼をしつつ、その後の流れについて簡単なお話がありました(立ち話程度です)。
とはいえ、約2週間で免責判決が下りるとのことです。
この時、弁護士さんは免責許可されること前提の口調だったので、よっぽどのことがない限り免責不許可になることはないのだろうと思いました。
そして、解散。
裁判所にいた時間は約30分ほどですべて終了しました。
免責許可決定されるのはいつ?借金はいる免責される?
免責審議で裁判官に「問題ない」と判断してもらえれば、免責許可決定が下されます。裁判官によってはその場で「免責を許可します」と言われることもあるそうです。
ただし、正式な手続きによる免責決定までの期間は、免責審尋から約1週間です。
裁判所から免責許可が出ると、その約2週間後に官広告がされ、さらに約2週間後に免責が確定します。
つまり、免責審尋から4~5週間で自己破産のすべての手続きが完了し、法律上の返済義務が消滅します。
免責尋問で気を付けるポイント
就職面接に私服&手ぶらで行く人はいないと思います。それは常識として面接にはスーツで聞くことを知っているから。
でも、裁判になると「ん?」ってなるのは私だけではないはず。裁判って冠婚葬祭にも含まれなし、何を着ていけばいいかなんて普通は知りません。
とりあえず、私がどんな格好で出廷したのか、その他注意すべきことはあるのかについて、私なりに思ったことをまとめてみます。
免責尋問に最適な服装とは?
必ずしもスーツで出廷する必要はありません。
当時の職場はマーケティング会社で、仕事用の制服などはなく、女性はカジュアルな服装でもOKだったので、そのまま仕事に行くような服装で出廷しました。
ちなみに、私の前に免責審尋をした男性の服装もラフな感だったので、ぶっちゃけ服装はなんでもOKだと思います。
免責尋問で持参すべきものとは?
私の鞄の中身はお財布と携帯とポーチのみ。
出廷時に本人確認などはありませんし、免責審尋の時に提出するものや受け取りものもありませんでした。
免責尋問で気を付けるべきこととは?
遅刻しないこと。
あとは、裁判官の質問に答えられるように、事前に破産申立書を読み返しておくことです。
特に怖がる必要も何もありません。
「免責許可をもらいにいく!」というくらいの気持ちで出廷して全然OKだと思います。
まとめ:免責尋問は怖がらなくて大丈夫!
以上が私が経験した免責審尋、初裁判所&出廷でした。
免責審尋の時間は約10分。破産申立ての申請書を読み返してさえいれば、全く問題ありません。
「裁判官に責められる」ことを多少覚悟はしていましたが、私の場合は待った国そんなこともなく、たんたんとした質疑応答のみで終了しました。
「これで借金がなくなり人生再スタートだ」と思うとちょっと呆気ない感じもしますが、裁判所や裁判官、弁護士さんにとって自己破産は珍しいことではないのかもしれませんね。
平成30年度司法統計によると年間の自己破産件数は8万件以上。1日あたり220人以上の人が自己破産していることになります。
私のその1人。
毎月の支払いが滞り、連日鳴り響く支払い催促の着信音に怯えていた日々には2度と戻らないと心に誓いました。
長い人生において、誰にだって取り返しのつかない失敗の1度や2度あるものです。私の場合、それが”借金”でした。
でも、やり直す方法はあるし「自己破産したら人生終了」なんてことありません。1つの選択肢です。
もし、返済できない額の借金を抱えてしまってく経済的にも精神的にも苦しい日々を送っている人がいるなら、まずは弁護士さんに相談することをおすすめします。

※借金問題は早期解決が一番です