- 官報ってなに?どうやってみるの?
- 官報に個人情報が載ると知り合いにバレないか心配
- 官報に載らずに債務整理する方法を知りたい
自己破産を考えている、もしくは自己破産について調べているあなたは、今何を心配していますか?
✓借金の返済が苦しい
✓返済できる目途がたたない
✓でも…自己破産するのは怖い
きっと、このような気持ちで不安がいっぱいだと思います。
まず、確実に言えることは「今がどん底」ってこと。
自己破産、もしくは債務整理は人生を立て直すきっかけであり、新たなスタート地点に立つ手段となります。つまり、今後の人生を良くするための手続き。
そんなことわかっているんですよね。それでも自己破産を躊躇する理由は、結局のところ“世間体”ではないでしょうか。誰かにバレたらどうしようって。
そのバレる可能性がある心配の種が『官報』です。
自己破産すると、誰でも閲覧することができる『官報』に個人情報が載るから自己破産したことが周囲にバレるんじゃないか。そのような心配をしているならご安心ください。
誰も官報なんて見ませんから。(笑)
本記事では「自己破産しても官報を気にしなくていい理由」について、借金200万円で自己破産した過去を夫にも内緒にしている私が解説します。
自己破産して官報に個人情報(氏名・住所)が載るリスクとは?
自己破産のデメリットとして、主に以下の3つがあります。
自己破産のデメリット
- 信用情報に“異動”が記録される(ブラックリストに載る)
- 財産が差し押さえられる
- 官報に載る
上記でも理解しておきたいデメリットが「官報に載る」ことについて。
官報(かんぽう)とは、国が毎日発行している機関紙(新聞のようなもの)です。
※講読している人はほとんどいません…
自己破産すると氏名、住所などの個人情報が『官報』に掲載されます。官報に個人情報が掲載されるリスクを理解しているかどうかで、自己破産を含む債務整理についての捉え方が変わってくると思います。
官報に個人情報が載るリスクは以下のとおり。
- 自己破産したことが周囲にバレる可能性がある
- 闇金業者から営業メールが届く可能性がある
- 官報に掲載された情報は半永久的に消えない
上記のリスクを受け入れられるかどうかを考えてみてください。これらは、自己破産後の人生に関わることです。
ビビらせてしまってすみません。でも、官報についての理解が債務整理をするかどうか判断するために必要なことだと思います。
1つずつ解説します。
自己破産したことが周囲にバレる可能性がある
官報は誰でも閲覧可能なので、知人が偶然官報を見て自分の名前を見つけてしまう可能性がゼロとは言い切れません。しかし、そんなことは極めて稀なことです。
官報がきっかけで周囲に自己破産したことがバレる可能性はあります。しかし、その可能性は限りなくゼロに近いといっても過言ではないでしょう。
そもそも、一般人は官報の閲覧方法さえ知りません。むしろ官報という存在さえ知らないでしょう。
※そもそもバレたところで「それで?」と思うのですが…
闇金業者から営業メールが届く可能性がある
自己破産すると信用情報機関が管理する信用情報に“異動”が記録されます。つまり、ブラックリストに載り、新規の借入ができなくなります。
闇金業者は「どこからもお金が借りられない」という状況を悪用し、違法な金利でお金を貸そうと企んでいます。
そのため、闇金業者は官報をもとに破産者リストを作成し「ブラックなあなたでも借入できる方法」みたいなダイレクトメールで不特定多数の破産経験者に対して営業をかけます。
しかし、官報に載るのは氏名と住所でメールアドレスや電話番号は載っていません。それにも関わらず、メールが送られてくるのはなぜでしょうか。
ちょっと怖い話ですが、氏名と住所がわかればその人の電話番号を調べることができます。例えばNTT104番という公的サービスがあります。
とはいえ、自己破産後に「引っ越す」「電話番号を変える」「無視する」など、いくらでも対処は可能なので気にする必要はないでしょう。
官報に掲載された情報は半永久的に消えない
そして最後に考えられるリスクは「官報に掲載された情報は半永久的に消えることがない」ということ。アナログ情報にもかかわらず“デジタルタトゥー”的なリスクが残ります。
例えば、現在閲覧できる最も古い官報の情報は昭和22年ものです。つまり、74年前の情報が未だに残っています(閲覧には月額課金が必要です)。
とはいえ、「残っている=見られている」というわけではありません。例えば、おばあちゃん家の物置小屋に山積みされた新聞を引っ張り出してきて読む人はいないでしょう。
ただし、ちょっと“気持ち悪い”のは事実です。。
自己破産者の個人情報を官報で公開する理由
そもそも、なぜ自己破産者の個人情報を公開する必要があるのでしょうか。今風に言うと“晒(さら)し”行為ですよね。
でも、ちゃんとした理由があるようです。
官報に自己破産者を掲載する理由
- 掲載することが破産法10条で定められている
- 債権者(お金を貸した人)に破産事実を通知するため
正直なところ、腑に落ちませんよね。。
自己破産を躊躇する一番の理由は「自己破産したことを知られたくない」という気持ちだと思います。つまり、世間体です。
ブラックリストの載ることや財産が差押えになることは当然の代償と受け入れることができても「なぜ官報に個人情報が掲載されければいけないのか」と思うので、どう考えても腑に落ちません。。
官報の掲載時期と掲載内容

上記のフローチャートは自己破産手続きの大まかな流れを示しています。このフローチャートで示す「破産手続開始決定」と「免責決定」する時に官報に破産申請者の個人情報が掲載されます。
つまり「この人は今から破産手続き始めまーす!」という通知と「この人は免責が決定しましたー!」という通知です。
具体的には、以下のように官報に個人情報が掲載されます。
「破産手続開始決定」で掲載される内容
令和〇年(フ)第○○号
○○都○○市○○庁2町名〇番〇号
債務者 ○○○○
1 決定年月日時 令和〇年〇月〇日午後〇時
2 主文 債務者について破産手続きを開始する。
3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する。
4 免責意見申述期間 令和〇年〇月〇日まで
○○裁判所第〇民事部
「免責決定」で掲載される内容
令和〇年(フ)第○○号
○○都○○市○○庁2町名〇番〇号
破産者 ○○○○
1 決定年月日 令和〇年〇月〇日午後〇時
2 主文 破産者について免責を許可する
○○裁判所第〇民事部
【補足】官報はどこで見られる?
官報は以下のサイトから講読することができます。
≫ 官報講読のお申込み、情報検索サービスのご案内
官報の講読方法は「紙媒体の定期購読」と「インタ―ネット講読」の2種類があります。
紙媒体の定期購読の場合
月額料金:3,841円(送料込)で新聞と同じように官報をご自宅に配送してもらうことができます。
まぁまぁ高いですよね…。
インターネット講読の場合
インターネット講読には「日付検索プラン」と「日付検索+記事検索プラン」の2種類があり、それぞれで月額料金が異なります。また、紙媒体の定期購読されている場合は割引料金が適応されます。
紙媒体の定期購読者 | インターネット講読のみ | |
日付検索 | 無料 | 1,672円 |
日付検索+記事検索 | 582円 | 2,200円 |
- 日付検索:発行日付から過去に発行済みの官報を検索できる
- 記事検索:検索キーワードが含まれる記事を検索できる
なお、インターネット講読では、昭和22年5月3日から本日までに発行された官報をすべて閲覧することができます。
官報に掲載されても自己破産がバレる心配がない理由
これまで解説した通り、自己破産すると官報に個人情報が掲載され、誰かに自己破産したことが知られてしまう可能性があります。
ただし、以下の理由から「官報が原因で自己破産がバレる心配はない」と断言できます。
- 官報を講読する人は際て少ない
- 官報の掲載内容は無料検索できない
- 情報漏洩は刑罰の対象になる可能性あり
- 官報に掲載される破産者数は年間8万人以上
自己破産したことは“自己申告”しない限り、誰かにバレることはありません。まじで、心配するだけ無駄です。
つまり、心配しなくて大丈夫です。
官報を講読する人は極めて少ない
多くの人は官報の存在すら知りません。ましてや、官報の講読方法を知っている人などいないでしょう。
実際、自己破産を考えるまで、あなた自身も官報の存在を知らなかったはず。さらに、あなたの友達や職場の同僚で官報を講読していそうな人はいますか?
もし官報の存在を知っている人がいれば、その人は債務整理経験者か闇金業者かもしれません。
官報の掲載内容は無料検索できない
あなた自身も月額2,200円でインターネット講読すれば、知り合いで自己破産した人がいないかを氏名検索で調べることができます。
ただし、インターネット版官報は直近30日分を無料で閲覧することができます。
≫ インターネット版官報(こちらから閲覧可能です)
実際にインターネット版官報を見て欲しいのですが、めちゃめちゃわかりずらくないですか?こんな分かり難い資料から特定の情報を探すのは大変です。
さらに、インターネット版官報はPDFファイル形式なっているため、パソコンの検索機能(ctrl+F)を使っても特定のキーワードで検索することができません。
つまり、氏名検索で特定の誰かを探すためには「記事検索」機能付きの月額2,200円プランを講読する必要があります。
そこまでして、あなたの過去を暴こうとする人がいるでしょうか。もし、あなたの過去を詮索して個人情報を暴露しようとする人がいた場合は、名誉棄損で訴えましょう。
情報漏洩は刑罰の対象になる可能性あり
官報の情報を無暗に拡散したり誰かに言いふらす行為は“情報漏洩”として刑罰の対象になる可能性があります。
具体的には「名誉棄損」やプライバシーの侵害として「個人情報保護法違反」に抵触する可能性があります。その場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられます。
実際に過去には官報から自己破産者をリスト化してマップに表示した“破産者マップ”が物議を交わし、公開から数日で閉鎖に追い込まれる事件が起きました。
この事件を受け、個人情報保護委員会は「官報の個人情報は本人の同意なしに第三者に提供してはならない」という規定を強調する行政指導を行い、再犯防止を徹底しています。
【参考】2019年の破産者マップ事件
インターネット版官報から得た破産者情報をGoogleマップに紐づけしたサイトがネット上に公開された事件。
破産者マップは瞬く間に拡散され、破産者マップ公開の翌日には1時間当たり230万PVに達し、当時はサーバーがダウンしてアクセスできないほど炎上し、公開5日目に閉鎖しました。
官報に掲載される破産者数は年間8万人以上
平成30年度の司法統計によると、年間の自己破産者数は80,012人、個人再生者数は12,355人と報告されています。つまり、1年間で9万人以上の人が官報に掲載されています。
単純に考えると、10年間で90万人分のデータが官報に蓄積されていく計算です。
仮に、知人に官報を講読している人がいても、毎年膨大に蓄積されていくリストの中から“偶然”にも“特定の誰か”を見つけることは、海岸で米粒を見つけるくらい可能性が低いことでしょう。
任意整理は『官報』に載らない債務整理手続き
借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。自己破産は債務整理の1つの手段にすぎず、任意整理や個人再生という選択もあります。
特徴 | |
自己破産 | 裁判所に破産申立てをすることにより、裁判によって免責許可の判決が下される法的な手続き。借金は全額ゼロになる。 【主なデメリット】ブラックリストに載る/財産が差し押さえられる/官報に載る |
個人再生 | 裁判所手続きにより、マイホームやローン返済済の自動車などの財産を残し、借金を1/5~1/10まで減額する法的な手続き。 【主なデメリット】ブラックリストに載る/官報に載る |
任意整理 | 弁護士(もしくは司法書士)が代理人となり、債権者と直接交渉することで借金を減額し返済計画を見直す手続き。 【主なデメリット】ブラックリストに載る |
これらの3つの手続きでは、裁判所を通すか否かの違いがあります。
- 裁判所を通す手続き:『自己破産』『個人再生』
➪ 官報に載る - 裁判所を通さない手続き:『任意整理』
➪ 官報に載らない
任意整理は借金の減額割合は低いものの、「官報に載らない」というメリットがあります。また裁判を必要としないため、迅速かつ低コストで借金問題を解決できます。
実際に、借金問題の解決方法として最も利用されている手続きが最もデメリットが少ない『任意整理』です。
自己破産件数と個人再生件数は裁判所を通すため、司法統計にデータとして残りますが、任意整理は弁護士(もしくは司法書士)と債券者(貸金業者)との直接交渉になるため、正確なデータはありません。
とはいえ、任意整理の年間利用者数は200万人以上と言われています。裏を返せば、これだけの数の人はクレジットカードやカードローンなどの借金を抱えていることになりますね。
また、「自己破産者の27%が100~300万円の借金額で破産申立している」というデータも後悔されています。詳しくは以下のページをご参照ください。

※自己破産する前に借金は減額できる可能性あり